今回はインボイス制度にも関連する消費税について、課税事業者となる場合にどのように消費税を納付するのがいいか、というのを整理してみました。システムの受託開発企業やSES企業を例としています。
原則課税と簡易課税って何?
消費税というのは「貰った消費税」と「払った消費税」の差額を納付するもの、というのは理解できると思います。この差額を計算して納付する方法は原則課税と言います。では簡易課税とは何かというと、以下の2つの条件を満たす際に選択できる制度です。
- 基準期間の課税売上高が5,000万円以下である
- 簡易課税しますよ、という届け出を事業年度開始の前日までに提出している
簡易課税での納付額の計算は「みなし仕入れ率」というものを使います。IT企業の場合みなし仕入れ率は50%と設定されています。つまり売上高が4400万だった場合、貰った消費税は400万ですからみなし仕入れ率を乗算した200万が納付額、という計算になります。
受託企業、SES企業における選択基準
そもそも簡易課税を選択できる条件が売上5000万以下ですから、計算しやすいように4400万の売上があるものとします。この売上がすべて社員で稼いだものである場合は、迷わず簡易課税を選択することになると思います。というのも簡易課税を選択した場合、納付額は200万になりますが、原則課税を選択した場合には2200万以上の経費を使っていた場合に得をします。しかし給与や役員報酬には消費税はかかりません(非課税)。給与以外で2200万以上の経費が掛かるというのは現実的ではないでしょう。
委託(外注)をしている場合、どちらが得するかを考える必要があります。そんな会社はないと信じたいですが、例として4400万の売上はすべて委託先が稼いでいて(営業しかしない会社かな)、マージンを20%抜いていたとしましょう。とするとこんな形になります。
- 売上高:4400万(うち消費税400万)
- 外注費:3520万(うち消費税320万)
差額は80万ですから原則課税を選択すべきですね。
会社を運営するための「家賃や光熱費」「PC等の機器」「交際費」「交通費」などの経費は課税対象です(つまり支払うときに消費税も払っている)。年間4400万ほどの企業であれば、企業にもよりますが220~330万程度でしょうか。とすると、外注費がおよそ2000万を下回るのであれば簡易課税の方がいいかな?と詳細を計算するとよいでしょう。
- 売上高:4400万(うち消費税400万)
- 経費 :220万(うち消費税20万)
- 外注費:1980万(うち消費税180万)
まとめると
企業によりけりといってしまってはそれまでですが、簡単に言うとこのような関係が成り立ちます。詳細はきちんと計算する必要がありますので、きわどい場合は税理士等に相談するとよいかと思います。
- 売上高×みなし仕入れ率 > 課税対象の経費 の場合、簡易課税を選択した方が得するかも
- 売上高×みなし仕入れ率 < 課税対象の経費 の場合、原則課税を選択した方が得するかも
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