【労務初心者必見】社会保険(協会けんぽ)業務の年間スケジュール

経営・バックオフィス

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さて、今回は労務初心者(私も)向けに社会保険の年間スケジュールをまとめてみました。私自身、忘れてしまうことがないように、いつ・どんな目的で・どんな業務を実施するのか、といった概要を整理していきます。(うちの会社は協会けんぽですので、協会けんぽの話です。他の保険機関の場合、多少異なる部分があるかもしれません)

また、文中に出てくる例は「月末締、翌月15日払」での例です。月末締翌月払いであれば25日等でも基本的には同様に読み替えて頂いて大丈夫かと思いますが、月末締当月25日払い等の場合は、当記事ではフォローしていません。また、抜け漏れを確認でき次第、本記事はアップデートしていきます。

年間スケジュール

早速年間スケジュールは以下になります。社会保険の作業の中には、決まったタイミングで実施する作業と、何らかのトリガー(例えば入社・退社等)で発生する作業と2つあります。

定例作業

非定例(随時)作業

業務内容の説明の前に!基礎知識を

保険料を決定する仕組み

保険料を受け取る側(保険機関側)で考えてみましょう。

  • 保険料は収入に比例して決まるからその情報を企業からもらう必要がある
  • 収入(給与・賞与)は変動がある
  • 毎月給与額はいくらです、と報告されると受け取る事務量が多く大変

こんなことがあってか(ルールから逆算した想像です)、以下のルールになったんじゃないかなと思います。

  1. 年に1回給与を教えてね。とりあえずそれを1年間の保険料とするよ。
    →算定基礎届(定時決定)
  2. 給与にそこそこ変動があったら教えてね。随時変更するよ。
    →月額変更届(随時改定)
  3. 賞与は払ったら教えてね。
    →賞与支払届

そもそも社会保険って?

社会保険、というのは「社会保険」「厚生年金」をセットで表現していることが多いです。これは被保険者から天引きした額と同じ額を企業側も負担しています。つまり、保険料が多くなると、個人の負担だけでなく企業の負担も大きくなります。

各業務内容

それでは各業務の内容を説明していきます。

[毎月] 社会保険の控除・納付

毎月の給与から社会保険料を控除(天引き)します。控除した保険料と事業主負担分を含めて、翌月末に納付します。

4月分の給与を5月15日に従業員に支払ったとした場合、5月末に控除した保険料と事業主負担分を合算した金額を納付することになります。逆に言うと、4月末に納付するのは4月15日支給分の給与から控除した分になります。(賞与の場合は異なります)

[毎月] 月額変更届の確認・提出

給与計算が終わったら月額変更届の対象者に該当するかを全被保険者分確認します。以下の3つの条件をすべて満たした場合に、月額変更届を提出する必要があります。

  1. 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
  2. 変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  3. 3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上

引用元:日本年金機構HP 随時改定(月額変更届)

月額変更届を提出した場合、変更のタイミングはこのようになります。

  • 3月15日支給 ←←ここで3か月連続2等級以上の条件を満たし、4月提出として月額変更届を提出する。
  • 4月15日支給 ←←ここは変更前の等級で控除する。
  • 5月15日支給 ←←ここから変更後の等級で控除する。

[6月~7月] 算定基礎届の提出

7月10日までに算定基礎届と呼ばれる届出を作成し提出しなければいけません。算定基礎届とは、1年に1回の等級決定するために行う手続きです。4月~6月までの給与の平均を基準に、10月からの保険料(等級)を決めます。そのため、4月~6月に残業しすぎてしまうと、保険料が高くなってしまうので注意が必要です。

リンク:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hoshu/20141225.html

[随時] 入社時の手続き

入社日から14日以内に、被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届というわけの分からない呪文のような名前の届出を提出する必要があります。これを提出することで、採用された人(被保険者)の保険証が郵送されてきます。大体2週間以内には会社に届きます。

尚、届出に記入するのに、従業員の氏名や生年月日、マイナンバー等の個人情報が必要になりますので、従業員から個人情報を収集する必要があります。一般的には入社時に個人情報取り扱いに関する同意書等に記入頂き、社会保険の手続きに利用します、という旨を伝えたうえで実施する必要があります。(入社したら提出するのは当たり前と思うかもしれませんが、同意を得てないのに勝手に個人情報を使ってはいけませんよ!)

リンク:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140718.html

[随時] 退社時の手続き

退社時(死亡時)には被保険者から外れなければいけません。事実発生(退社日)から5日以内に被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届というまた呪文のような届出が必要になります。

リンク:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140722.html

[賞与支給時] 賞与支払届

賞与は、支給時だけでなく不支給時にも届出をする必要があります。これを提出することで保険料が決まります。賞与支給日を仮に12月15日とした場合、5日以内の12月20日までに提出する必要があります。そして保険料は1月末に納付になります。(給与と比較すると一カ月遅い)

リンク:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/shoyo/20140821.html

最後に・・・分かりにくかった用語の説明

最後によく出てくる用語の説明です。私なりの理解は以下です。

標準月額報酬とは|等級とは

標準月額報酬とは、毎月の給与が大体どのくらいか、ということを表す言葉です。基本給だけでなく、交通費も含んだ金額です。(なぜ交通費も?と思いますがそういうルールなので仕方ないです・・・。例えば、長野等から都心へ新幹線等で通勤している方は実態の給与より高い水準の社会保険料がかかることになります。)

社会保険料は給与のうち一定のパーセンテージで、という計算ではなくどの等級に該当するかによって決まります。社会保険料とは、社会保険料と厚生年金を合わせたものです。厚生年金の標準月額報酬は記事執筆時点では66万5千円が最大値となっていますので、100万の給与などの場合、厚生年金が大きく割合として下がります。

令和3年度の料率はこちら

保険者とは|被保険者とは|被扶養者とは

保険者とは協会けんぽのことです。要は保険業を実施している者ということで、被保険者とは保険を受けるもの、つまり保険に加入している自身のことです。そして、配偶者や子供等扶養を受けるものを被扶養者とよびます。

ぼっち経営者

ぼっち経営者

IT企業経営者×インフラエンジニア×2児の父親。 経営者として:現在3期目。エンジニアの傍らでバックオフィス業務もすべてにひとりで実施。ここからぼっち経営者という名前をつけました。 エンジニアとして:15年程の経験があり、直近はインフラクラウド(AWS)中心で活動 父親として:2児の娘を持つ父親として、日々子育てに奮闘中。

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ぼっち経営者

IT企業経営者×インフラエンジニア×2児の父親。 現在3期目の会社を経営中。エンジニアの傍らでバックオフィス業務もすべてに私ひとりで実施。ここからぼっち経営者という名前を。 エンジニアとしては15年程の経験。直近はクラウド(AWS)中心で活動。 2児の娘を持つ父親として、日々子育てに奮闘中。

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